DIALOGUE 03
“デジタル”による
価値創造を考える

デジタルによる業務効率化は、
最終的にお客さまへのさらなる価値提供につながります。
DCMが取り組むデジタル戦略に迫ります。

PROFILE
尾﨑 由和
尾﨑 由和 Yoshikazu Ozaki
DX戦略統括部 デジタル推進部
デジタル推進課 マネジャー

副店長や店長、営業サポート系本社部署などを歴任し、2020年よりデジタル推進部に配属。店舗経験を活かしたデジタル戦略を立案する。

遠藤 将一
遠藤 将一 Shoichi Endo
DX戦略統括部 デジタル推進部
デジタル推進部長 兼 デジタル推進課長

システムベンダーやITベンチャー、インテリアSPA企業などでシステム開発を経験。豊富な知見を武器に2016年、DCMへ転職。

- THEME 1 - デジタルで業務を改革し、
DXを推進
遠藤
DCMには2つのシステム部門があります。1つ目はシステム開発部で、店舗業務や物流、会計など業務系のシステム開発と運用を担っています。私たちが所属するのはもう一方のデジタル推進部で、AIやRPA、ビッグデータなどを使って、店舗はもちろんのこと本部の業務も改革し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するという役割を担っています。
尾﨑
私はこれまでシステム開発のキャリアがなかったのですが、店舗での経験を開発に活かすことを期待されて現在の部署に異動してきました。店舗では店長まで経験し、それ以外にも本社の営業サポート系の部署へ配属されたことがあり、店舗の課題をしくみで解決するという仕事に携わっていました。それが、今はシステムで解決するようになったというイメージです。遠藤さんの経歴はシステム業界一筋ですよね。
遠藤
そうだね。最初の10年間は3社のシステムベンダーでキャリアを積んでいたのですが、取引先さまのシステムをつくるのではなく、自分自身で自社に必要なシステムを考え、つくってみたいと思い、インテリアSPA企業へ転職しました。そこから、もっと自由に自分の発想力やスキルを活かせる環境を求めて、2016年に当社へ入社しました。システム面では大きな伸びしろがあり、経営層の「会社を変えていかなければならない」という熱い想いに共感し、自分がチャレンジできる環境があると感じたんです。
尾﨑
遠藤さんは本当にスキルが高くて尊敬しています!私の業務は、店舗経験から生まれたアイデアやお客さまのお困りごとを提言し、部署のメンバーでディスカッションしてシステムをカタチにすることです。店舗経験を活かして提案できるものを見つけ、課題と技術をつなぎ合わせるコーディネーターのような役割ですね。
- THEME 2 - お客さま満足度を向上しながら、
働きやすいしくみを創出
遠藤
当社が導入したデジタルテクノロジーは多岐に渡ります。商品確認や在庫管理などを行える店舗業務用スマートデバイスや全店舗をつなぐWeb会議システムをはじめ、お客さまやスタッフの行動を分析するAIカメラ、自動で店舗を掃除するお掃除ロボット、社員ひとりひとりのキャリアプランを作成するタレントマネジメントシステム、店舗で収集した膨大なデータを解析するビッグデータ分析システムなど、幅広く展開しています。中でも、売場案内ツールは尾﨑さんが力を入れて開発・導入してくれたよね。
尾﨑
そうですね。売場案内ツールはAIによる画像認識・商品識別機能を活用したもので、スマートデバイスでお客さまから質問を受けた商品の候補を選出し、商品の位置まで検索できるようにしたものです。たとえばハサミ一つとっても、ホームセンターにはヘアカット用、園芸用、ペーパー用など多種多様な商品が存在します。「ハサミはどこですか?」と質問を受けた際に、売場案内ツールを使ってハサミを検索して「どのような用途で使用しますか?」とお客さまにお聞きします。「枝を切りたいんです」と回答されたら、ハサミの候補の中から剪定ばさみを特定し、売場まで案内できるというシステムになります。
遠藤
辞書機能がついているのもポイントです。たとえば裁ちばさみは「布切ばさみ」という商品名で登録されているのですが、それぞれの名前をシステムによって紐づけることで、表現の違いや地域毎の方言にも対応できるようにしています。売場案内ツールはお客さまご自身のスマートフォンでもご使用いただけるので、快適に買い物を楽しんでいただけます。
尾﨑
開発では従業員が持っている豊富な知識やノウハウを、どのようにデータベースに落とし込むかを試行錯誤しました。元々このシステムは、新しく入社した従業員が商品の位置を覚えるまで社員への問い合わせ回数が多くなり、他の業務を圧迫してしまっていたという現場での課題から生まれたものです。デジタルテクノロジーでお客さまの満足度の向上はもちろんのこと、従業員にとってもより業務を行いやすい環境へ改善することをめざしています。
- THEME 3 - 小売業界は
データの宝庫
遠藤
中長期的な目標としては、OMOを強化していくことですね。OMOとはオンラインとオフラインを融合して顧客体験を最大化するマーケティング戦略のことで、今まで以上にお客さまに寄り添ったECサイトの構築などが必要になると考えています。また、接客のデジタル化も推進していきたいです。
尾﨑
店舗の接客は「挨拶」「案内」「質問」「相談」という4領域に分かれていると考えており、「案内」は売場案内ツール、「質問」はAIチャットボット、「相談」はリモート接客といったシステムの導入を目標としています。特にリモート接客はDCMのファンづくりの要ともなる施策だと考えています。出産や介護などで店舗勤務が難しい従業員でも、隙間時間に働くことができますし、お客さまにとってはどの店舗に足を運んでもプロの意見を聞けるというメリットがあります。
遠藤
ただ、どれだけ技術が進化しても「挨拶」だけはホスピタリティを持った「人」が担当し続けるべきですね。人との触れ合いを生み出せるのが店舗の良さであり、挨拶がコミュニケーションの始まりにもなりますので。リアルとデジタルを組み合わせて、お客さまの満足度を向上させたいです。
尾﨑
コロナ禍を経験したからこそ、生身の人間によるホスピタリティの大切さに皆が気づかされましたよね。それと、現在は部署としてデータ分析にも力を入れています。
遠藤
そうそう。実は、小売業界はデータの宝庫なんです。お客さまの購入データや会員データ、ECサイトの購買データなど、業務やマーケティングに活かせるデータが膨大にあります。AIカメラでお客さまの行動を分析すれば、棚の高さや商品の配置を改善することも可能です。データを用いてPDCAを回すことは、顧客体験と売上の向上に直結するものだと考えています。
- THEME 4 - 技術の力で実現する、
小売業の理想像
尾﨑
デジタルテクノロジーの活用で、最終的には「作業」をなくしたいと考えています。そもそも小売業における店舗スタッフの務めは、お客さまに集中して丁寧な接客をすることです。しかし、ニーズが多様化する中で、お客さまが求めるレベルが高まり、やるべきことや考えるべきことが増えてしまっているのも事実。そこで、デジタルテクノロジーの力で少しでも無駄な作業を減らし、従業員が心の余裕を持ってお客さまのために時間を割ける環境をつくることをめざしています。
遠藤
素晴らしい志だね!私は、お客さまが便利だと感じることは状況によって異なると考えていて、シチュエーションに応じてデジタルを上手に活用していただけるようにする必要があると思っています。たとえば安く簡単に欲しい商品を購入したいときはECサイトをご利用されるでしょうし、詳しい人に相談しながら買うモノを決めたいときは店舗に足をお運びになるでしょう。必要な商品を必要なときに購入いただけるように、デジタルテクノロジーで利便性を追求したいですね。
尾﨑
DXを行うということは、「現場が抱える問題の解決策」を既存の技術を用いた方法に変換するだけだと思っています。その際、分かりづらく操作しづらいシステムにならないよう配慮することが重要です。機能が充実していても、使い勝手が良くなければ活用していただけませんから。
遠藤
同感です。お客さまも従業員も直感的に操作できるようなUI(ユーザーインターフェース)・UX(ユーザーエクスペリエンス)が大切になるね。お客さまへさらなる価値を提供するためにも、人間力と技術力の掛け算で欲しいモノが自然と手に入るしくみを構築していきたいです。
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