ハーブを育てる基礎知識
■露地植えの土づくり
特にやせた土地や湿地でなければ、ハーブを育てることができます。硬い土は掘り起こして、腐葉土などの有機物を入れてよくすき込んでふかふかにすると、水はけと水持ちが良く通気性に富んだ良い土になります。また土が強酸性なら中性化してやる必要も。この場合は植え付けの1~2週間ほど前に、消石灰を土の表面にうっすらと霜が降りたように見える程度にまき、30cmほど掘り返して均一にならしておきます。
元気な苗を選びましょう。ポットの上から触って、ある程度堅さがあれば根が張っている証拠。さらに茎が太く安定感があり、葉に勢いがあるものを選びましょう。
■鉢やプランターに植え付ける
鉢穴に鉢底ネットを敷き、用土を少し入れて根鉢を崩さないように苗を置き、まわりに用土を足し入れます。この時、竹ばしなどでつつきながら用土を入れ、すき間ができないようにするのがポイント。植え付け後はたっぷりと水を与え、1~2日間は風の当たらない半日陰に置きます。
露地などの苗床の場合、根が張っているので、傷付けないように大きめに掘り上げます。
土を落とすと根が切れるので自然にこぼれる以外は土を落とさないようにします。
■露地植え
庭や畑には畝をつくって植え付けます。株間は成長後の大きさが小さいもので20~25cm、大きくなるものでは40~50cmが目安。根元をきちんと押さえ、葉に土を掛けないことも大切です。
なるべく薬剤は使わず、害虫は捕殺するのが基本です。どうしても防除できない時は薬剤を散布しますが、食用ハーブの場合は、根から吸収させる殺虫剤や除草剤は避け、散布後2~3週間は食用に使わない方が安全です。
鉢植えの場合は日陰に移動し、露地植えの場合は日陰をつくって、土の温度を下げてから水やりをしましょう。
苗が根付いた後は雨まかせで水やりは不要ですが、植え付け後の1週間や梅雨明け後の日照りが続く時期は、シャワーなどでじっくり水を与えます。
植え付け時には元肥として鶏ふんや油かすなどの有機質肥料を混ぜ、追肥には薄めた液肥や速効性の化学肥料を使います。追肥を与えるのは春と秋。夏はほとんどのハーブが高温多湿で弱り、冬は休眠中なので与えません。また肥料の3要素の働きを知っておくと、葉を多く使うミントやバジルなどにはチッ素の多いもの、カモミールなど花を使うハーブにはリン酸の多いものと適切な肥料を選ぶことができます。
ほんの少し料理に加えるだけで、本格的な味に変身させてくれる人気のハーブたち。自分で育てて、フレッシュな香りを活かしましょう。
木酢液は木炭をつくる時に出る煙を液化・冷却してつくられるもので、農薬でも肥料でもありませんが、害虫防除や土壌改良などに効き目があると話題になっています。無農薬栽培の決め手ともなりそうな商品ですが、その効果については明らかになっていないのが現状。使用者の間でも効果を認める人もいれば、まったく効かないという人もいます。成分的には植物の栄養分や殺菌・殺虫物質の含有量はわずか。しかし200もの天然成分が総合的に働くことで、植物本来の働きを活性化させる作用があり、人間にとってのビタミンのようなものと説明するメーカーもあります。一方、ホルムアルデヒドなど人体に悪影響を及ぼす成分を含むとして使用を危惧する意見もあります。
■倒れやすいハーブには支柱を立てましょう。
タイム・セージ・ミントなどの小さな苗は、強い雨や風で倒れやすいので、露地に植える時は、割り箸などの支柱を添えておくと良いでしょう。また上に伸びる性質のフェンネル・ポリジ・コリアンダー・チャービルなどにも、倒れ防止のためのしっかりとした支柱が必要です。
■高く伸び過ぎる前に、摘芯をしましょう。
背丈の伸びやすいハーブは、1本の茎だけがひょろひょろと高く伸びてしまいがちです。こんもりと安定した株に育てるには、低い位置で摘芯してわき芽を出させるのがポイント。茎が2~3節育ったところで、1~2節目の少し上の位置で切ります。その後わき芽が伸びてくるので、再び2~3節に育ったら摘芯して枝を増やします。
■ハーブの夏越し・冬越し管理。
ハーブは日当たりの良い場所でよく育ちます。しかし高温多湿は苦手なので、夏は涼しく風通しの良い環境づくりを。庭植えの場合は、株元に敷きわらなどを敷いて地面の温度上昇を防いだり、寒冷遮やよしずで直射日光を避けます。鉢植えは鉢を二重にしたり、地面に置かずに棚などの上に置くだけでも、むれ予防になります。日差しの強いベランダはすだれなどで光量を調整します。また冬は霜に注意。露地植えはマルチングで保温し、鉢植えで寒さに弱いものは室内に入れても良いでしょう。