2018.06.06 梅雨時期の洗濯物干し

体操着のカビ! 早めに気づいて良かったですね! これ以上カビを増やしてしまうか、ここで食い止めるか。瀬戸際のタイミングだったと思います。それに部屋干し独特の臭いも心配ですよね。
人から「カビだ」と指摘されればショックを受けて当然でしょうが、実のところ制服シャツの下着などとしても着用されている時間が長い学生の「体操着」の類というのは、いわゆるカビの繁殖条件を完全に満たしてしまっているものです。
いつも体温に温められ(30度程度)、汗や皮脂の汚れが豊富で(エサ)、着用している以上は四六時中湿っている(湿度80%程度)。カビが生えても存外、不思議ではありません。体操着以外だって、それと自覚しないままカビの生えた衣類を身につけているケース、実のところは少なくないのではないかと私などは考えています。
そもそも目に見えるカビのもとになる「胞子」(カビの、たねのようなもの)は目に見えないだけで、私たちが生活している環境の空気中に数え切れないほど飛散、浮遊しています。
神奈川県衛生研究所の調べによれば空気1立方メートルあたり125から488も検出されたという数字が出ています。たったの1立方メートルに浮遊している数がこれなのですから、あとは推して知るべしでしょう。
加えて汚れた衣類をきれいに洗濯する洗濯機の内部でカビを培養してしまっている可能性も決して低くはありません。一般的な「タテ型 全自動洗濯機」では洗濯槽の裏側、また近年増加している「ドラム式 洗濯乾燥機」ではふた周りのゴムパッキンにカビが発生しやすく、洗濯物が汚染されている……。想像するだけでちょっと「痒く」なってきそうですが、実際に「水虫」といった皮膚病はカビの一種(白癬菌)だったりします。
さて、「カビ」が発生・繁殖しやすい環境条件というのは、いわゆる洗濯物の部屋干し(生乾き)臭の原因と言われる「細菌」の繁殖しやすいそれと、かなり被っています。繰り返しになりますがおよそカビは、
①程よい温度(20〜30度)
②程よい湿度(60%〜80%以上)
③程よい栄養(木材、食品、皮革、紙、洗剤、ホコリなど)
という条件が揃っている限りどこでも発生・発育しますが、洗濯物の部屋干し臭の主原因と言われる細菌である「モラクセラ菌」も、程よい湿度のある環境で(濡れた洗濯もの)、栄養となるタンパク質など(洗い残した汚れ成分)があるところで増殖し、そのさいに嫌な臭いを発生させていることが分かっています。
つまり「カビ」も「モラクセラ菌」も、洗濯物が「濡れた」状態で長時間おかれている状態で増えるという共通項があるわけです。加えて、ヒトの皮膚や粘膜の常在菌でもある「モラクセラ菌」は、お風呂の残り湯の中にも含まれていると考えられます。
そのため梅雨時には洗濯にお風呂の残り湯を使用しない、どうしても使いたい場合は入浴直後のタイミングで利用し、一晩置いた後で使うことはしないようにする(湯水のなかの雑菌数が一晩で1000倍にも増えるという報告があります)というのも、洗濯物を臭くしないためには必要なことなのです。
一度繊維に入り込んでしまった「カビ」を完全になくすことはほぼ不可能ですが、「40度以上」のなるべく綺麗な湯に溶かした「酸素系漂白剤」に漬け置くこと、あるいは通常の洗濯時に洗浄力の強い粉末洗剤とこの粉末酸素系漂白剤を併用することで、ある程度の殺カビと、これ以上の増殖を抑えることにつながります。
この方法は部屋干し臭を減らす方法としても有効で、「モラクセラ菌」や「黄色ブドウ球菌」など、洗濯物に付着し濡れた洗濯もののなかで増える雑菌も減らせます。また、カビの生えやすい洗濯槽を、酸素系漂白剤や塩素系漂白剤を利用した「洗濯槽クリーナー」で、月に1回程度殺菌洗浄し、洗濯機そのものからの洗濯物汚染を抑えることも大切です。
このように「洗濯」という作業そのものに注意した後、できるだけ短時間で「洗濯物を乾かす」ことを行うのです。そしてこの際に活用したいのが、洗濯物を効率的に干すことができ、乾かすことのできる便利な「部屋干しグッズ」です。
適切な間隔で洗濯物に回る空気を確保できるピンチつきの「角ハンガー」や、濡れた部分が乾きやすいつくりのハンガーを使い、「エアサーキュレーター」で洗濯物周囲の空気が攪拌され乾燥がちとなるような環境作りをする。「除湿機」や「エアコン(冷房)」の稼動を併用し、より屋内の空気自体が乾燥がちとする。そうすることで、部屋干しの洗濯物の乾燥にかかる時間を格段に短くすることができます。
「洗濯」という家事そのものは誰にとっても一年中続き、当たり前のこととなってしまっているだけに、そこに新しい方法や新しい道具を取り入れるにはいささかの抵抗や不安が生じがちであるものと思います。
ただ、新しい何かを取り入れることで、これまで長々とストレスに感じていた不具合がほとんどなくなってしまうことが、少なからずあります。
梅雨の洗濯物周りのお悩みを解決したいなら、そんな「これまで行ってきた何か」を見直してみる。そんなちょっとした勇気が、必要なのかも知れませんね。
DCM そのまま洗えるランドリーバスケット Lサイズ
二層式洗濯機、縦型洗濯機、乾燥機に使用できる。持ち手付きで自立可能。洗濯から脱水までネットに入れたまま使える。商品サイズ:縦36×横26×高さ25cm。
藤原さんもおすすめ! 洗濯前の洗濯物(汚れ物)を、空いている洗濯機(洗濯槽)に溜めて「ランドリーバスケットいらず」としている方がいます。もともと濡れている洗濯槽内に汚れ物が入り、蒸れた状態で乾燥もせず数時間から数日もの間おかれていることには衛生上の問題があるので、おすすめできない習慣です。「洗濯ネット」を兼ねた「ランドリーバスケット」(網状なので蒸れもせず)は、下着などの細やかな洗濯物と、シャツなどの大物とを分けて入れておける造りで、洗濯という作業自体に関わる「絡まっちゃった」や「靴下が片方見つからない」などのストレスを軽減する効果もあり、洗濯機にそのまま溜めおくよりもはるかに家事負担が減り、その上臭くなりにくいわけです。「コインランドリー」愛用者なら、このまま持って行って洗濯機に入れることもできます。