2018.09.26 「今月のBEST OF THE BEST」冬に向けて。住まいのメンテナンスと注意点

「冬」が住まいを傷めるものだ、という発想は、もしかするとあまり一般的ではないものかもしれません。
でも、その住まいが豪雪地帯に建っているとか、酷寒の大地に一軒ポツンと建っている、などの場合には、きっと簡単に想像できますよね。冬に降る大量の雪がもたらす重み。低下する気温がもたらす氷。気圧差がもたらす強風。寒さのために行う家の中での暖房がもたらす結露水。それらがいちどきに、或いはジワジワと、住まいの建物を蝕んでいきこそすれ、家をより良くするはずなどないと。
しかし、これらの要素は、決して豪雪や酷寒やらに直面している住まいのみに与えられているものではありません。都市部でも、そこが街中でも、ほどほどに郊外でも、「冬」のもたらす気候のただなかにあればどんな住まいでも、念頭に置いておかなければいけないリスクファクターです。
今年も、冬が来ます。それまでに行っておくことのできる場所別の準備、メンテナンス(グッズ)があります。本格的な寒さが訪れる前に、ぜひ押さえておきたいところです。
特に戸建ての場合、外壁そのもののクラック(ひび割れ)の有無を折を見てチェックしておきましょう。クラックがあると、そこから雨水などが入り込みます。それだけでも構造体を腐らせたり、シロアリが繁殖してしまう恐れがあるのですが、冬場はその水分が凍結することによって膨張、クラックをより広げてしまい、家の傷みを進めてしまうおそれがあります。こちらは発見次第セルフメンテナンスというより、外壁の塗装を検討すべき部分です。
とりあえず外壁についた蜘蛛の巣、風雨などで巻き上がった泥砂汚れなどは、ほうきなどを適宜使用してはがしておくようにしましょう。また立地や日当たりなどの関係で、煤煙がこびりついたり、藻やコケ、カビなどが生えている場合もあります。長い時間をかけてそれらは外壁を劣化させる原因になるので、本格的な寒さが訪れる前に洗剤等を使って落としておくと良いでしょう。
また壁そのもののみならず、外部を伝っている電線や配管に異状がないかの確認も済ませておきましょう。強風で煽られたり、積雪の重みで外れたりした場合、外壁そのものに損傷を及ぼす可能性もあります。
夏から秋にかけて、主にベランダ排水溝や雨樋に、泥砂、枯葉、枯れ枝などの溜まり、腐り、詰まりが生じていないか注意し、真冬までの間にほうきでの掃き掃除や、溝さらえ(ステンレ清掃器使用)などを行い、解消しておきましょう。雨戸や樋などに割れなどの破損が発見された場合には、専用の補修テープ(ガムテープではありません)で応急処置を施し、現状以上に悪化しないようにし、早めに本格的な修理を行います。
戸建て、集合住宅問わずベランダ部分では、強風や積雪などの影響を受けやすい手すり(主に付け根などの劣化、クラック)にも気をつけておきます。また寒くなると開閉が億劫になりがちな雨戸周りでは、開け閉めの際にイライラしがちな引っかかりなども、気温が暖かいうちに直しておきたいところです。
レールからは余計なホコリを掃くなどして取り除き、適宜潤滑油をさしておきましょう。余談ですが郊外の住まいでは、雨戸の戸袋にカメムシなどの虫が越冬のため集まることも珍しくありません。虫に対しての態度はそれぞれなので一概には言えませんが、それは好ましくないと思う場合には真冬になる前に虫除けを前もってスプレーしておくなど準備を行っておきましょう。
またベランダガーデニングなどでの鉢植え、庭木の広葉樹などの葉落としや剪定などの作業も、冬支度メンテナンスの一環として忘れずに。