2018.07.18 冷房に負けない!冷え対策のポイント

出先などで「今年、初冷房かな?」と気づくタイミングというのは毎年、本格的な「夏」よりはだいぶ前という印象はありませんか? そのタイミングに比べると、出先ではない「我が家」で冷房の“エアコン”稼働を始めるのは、毎年だいぶ遅くなってからだったりしますよね。
そして、自分でリモコンなどを使って温度設定することが可能な限りは、どうしてか室温が「28度」になるように調整してしまう癖があったりしませんか? でもどうして「28度」なのでしょう。冷房の「正解」が28度? それ以外は不正解? その根拠は、いったい、どこにあるのでしょうか?
「28度」の出どころを紐解くと、 驚くことに「なんとなく決めた」という談話に行き当たりました。もともと官公庁や企業などを中心に広がりだした、夏の軽装化キャンペーンである「クールビズ」。その実施にあたり、2005年当時の環境省担当課長だった現職大臣が、「科学的知見を持って28度に決めたのではない、なんとなく目安としただけ」と2017年、明らかにしたのです(※1)。
とはいえ「労働安全衛生法の事業所衛生規則で定められている事業所の室温の上限が28度」だそうですので、全く参考値となる根拠がないわけではない様子。ただ、あくまで上限が28度なので、人によっては28度でも暑く感じることもあるでしょうし、逆に寒すぎると感じる人がいてもおかしくありません。
同じ部屋の中にいても、エアコンからの距離や風向き、窓や出入り口に近いか否か、頭に近い高さと床上か、などによって気温は異なります。また猛暑日や酷暑日と呼ばれるような日の日中の気温は35度を超え40度近くなることすらあるため、たとえエアコンを「高めの28度設定」にしていても、屋外と屋内の気温差が10度を超えてしまうことになります。
エアコンのもたらす涼しさは、物理的に私たちの身体を冷やし、感覚としていっときの清涼感を与えるのみならず私たちの体温を奪います。そもそも身体のしくみとして、身体はその場の気温に適合するように自律神経の働きによって体温を調節しています。
例えばずっと28度の部屋にいても、38度の暑い屋外に出ればなるべく血管を拡張させたり発汗させたりして、身体の中の熱を外に出しつつその外気と体温を適合させなければなりません。 そういった機能が損なわれてしまって起こるひとつの症状が熱中症ですが、この機能が弱まってしまっても、だるさや疲れやすさといった「夏バテ」の症状を中心としたさまざまな不調が生じてしまいます。
身体の体温調節がうまくいかない状態、自律神経が混乱している症状のひとつが「冷え」です。
エアコンのせいで、自律神経が混乱してしまったり、体温調節がうまくいかなくなってしまうような状態は、夏の生活の質に直接関わりますから、なるべく避けたいもの。この過剰な「冷え」を起こしてしまわないために、いくつか自衛の策を講じる必要があります。
ひとつは、体温調節を身体に任せきりにしないことです。暑い時には速やかに体温を放散できる衣類、汗が出なければ濡れた布で皮膚を拭いて気化熱の効果を期待できるような衣類を身につけたり、エアコンの冷気を強すぎると感じるときには、冷気を避けるための上着や巻きものなどを常に携行する、といった方法です。
またもうひとつは、血行を改善させることです。適切に汗をかくこと、そのことによって適切に体温を調節しなければなりませんが、なかでも指先や足先といったもっとも「冷え」を感じやすい末端まで血を巡らせるために、有効なのが「軽い運動」と「入浴」というものです。
すでに「冷え」が入ってしまってだるさを感じている状態で運動をするのは、実際のところ難しいかもしれません。でも、ぬるめのお湯に少し長く浸かることで、身体の隅々まで血の巡りを良くできる「入浴」は、もっともラクかつ快適な「冷え」対策と言えそうです。