2018.05.02 快適に自転車通勤・通学をするために

例えば。詰襟の学生服の男の子が漕ぐ自転車の荷台に、横座りしたセーラー服の女の子。夕焼けバックに、「ああ、青春……!」。
例えば。傘を片手に、吹き付ける雨粒を迎えうちつつ自転車を走らせる勇姿!
例えば。耳にイヤホン、スマホでお気に入りの曲を流しながらのご機嫌サイクリング!
例えば。ちょっとそこまでほろ酔い一杯。自転車にまたがり、いい気分!
これ、ぜんぶ「道路交通法」違反行為だって、ご存知でしたか?
「2人乗り運転」は道路交通法第57条違反で「2万円以下の罰金または科料(刑法の刑罰の一種)」。「傘さし運転」は道路交通法第71条違反で「5万円以下の罰金」。「イヤホーン等使用運転」も道路交通法第71条違反で「5万円以下の罰金」。「酒気帯び運転」は道路交通法第65条違反で、なんと「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科せられてしまうのです。
「え〜、自転車ってそんなに厳しい乗り物だったっけ?」と驚かれたなら要注意。自転車は道路交通法上「軽車両」で、つまりは「人」ではなく「クルマ」の扱い。ですが、乗っている本人の認識は「クルマじゃないでしょ、生身なんだから!」、だったりはしませんか?
でも、人と人とが歩行中にぶつかっても、そう滅多にどちらかが「死亡」することはありませんが、自転車と人とがぶつかるとなると、そうはいきません。自転車乗用中の交通事故死者全国ワースト2である埼玉県では、平成29年中の交通事故死者数177人中、なんと32人が自転車による死でした。うち19人(6割)が高齢者です。
歩行者ですら危険な「歩きスマホ」の自転車版である「ながらスマホ」は特に悪質な事故原因として近年、問題視されています。もちろん自転車乗車中に使っているだけでも「携帯電話使用運転」として道路交通法71条違反となり5万円以下の罰金が科せられますが、人と衝突して相手が死亡したとなればそれだけで済むはずがありません。
もうひとつ。「普通自転車が歩道を通行することができる場合」は、実はかなり限られたケース(歩道に「普通自転車歩道通行可」の標識があったり、13歳未満の子供か70歳以上の高齢者だったり、著しく車道の左側を通行することが困難な場合など)のみなのですが、これをほとんど無視している、あるいは理解していない自転車使用者というのは、とても多いように感じています。
個人的な話ですが、「歩行者専用」の歩道でありながら、「右側通行」で徐行もせずフルスピードの「歩道での歩行者妨害」(道路交通法第63条の4違反)走行の自転車に遭遇したことがあります。その自転車はベルを鳴らしながら走行していて、あわや手をつないでいる私の子どもにぶつかられかけたという怖ろしい経験でした。しかも一度ならず複数回! 残念ながらあちらも小さな子どもを乗せているお母さんの自転車でした。あれでは、乗せられているそのお子さん自身も、交通ルールを勘違いしかねないだろうな、と心配になってしまいました。
通学時の学生さんなども、遅刻寸前で急いでいる自分の都合優先で自転車を走行させると、取り返しのつかないことになりかねません。法律はとかく理解しにくいものですが、やさしく噛み砕いてある資料も多いので、必ず子ども本人に自転車の関わる「道路交通法」を把握させるようにしてください。
高齢女性に衝突、重傷を負わせた「小学5年生」の少年に9,500万円もの賠償責任命令が下された事例もあります。「たかが自転車」では済まさない心構えが必要です。