2018.08.01 トイレの形、便座の種類、洗浄便座のメリットとデメリット、掃除の盲点

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大手住宅メーカー勤務を経て、主に住まい・暮らしまわりの記事を専門に執筆。
現在は企画、広告、商品開発アドバイザーなど多様な業務に携わる。
TV「マツコの知らない世界」に1000個の掃除グッズを試した主婦として出演も。
著・監修書に『この一冊ですべてがわかる!家事のきほん新事典』など。
家庭のトイレから、いわゆる「和式(和風)トイレ」が消え始めて四半世紀が経とうとしています。 「和式トイレ」に不可欠な、しゃがむ用便姿勢。用を足したのち立ち上がる際かかる身体的負荷。また、排尿時の飛び散りや、排便に際しても便器周辺が何かと汚れやすく、そのために周辺が臭いやすいこと、等々。「和式トイレ」にありがちなデメリットは、そっくり「洋式(洋風、腰掛)トイレ」のメリットに置き換えられます。 とはいえ、限りなく飛び散りにくく、排泄時の姿勢にも無理のない椅子式の「洋式(洋風、腰掛)トイレ」といえど、全く問題がないわけではありません。 「洋式トイレ」前に立って小用を済ませる習慣を持つ男性の尿による、床や壁にも及ぶ「飛び散り」汚れ。また、便器の構造上発生した便座下の縁に溜まりやすい女性の尿による「尿石汚れ」。これらは日常的な便器内外の掃除では容易に除去しきれず、「どことなく臭う」といったトイレの不快感を生じさせがちであったため、便器、便座等にはさまざまな改良が施され、現在に至っています。
それぞれが「洋式トイレ」を構成する一要素である「便器」、「便座」のサイズも大きく「大型」「普通」に分けられます。これは、選ぶ立場にならないとあまり意識できないポイントではありますが、トイレにさける空間そのものの広さといった条件や、主な使用者となる人の体格などが、その選定を左右します。また便器の形状や洗浄方法によって、洗浄に使用する水量にも多寡が生じます。 便器が大きめで、水たまりも大きめであるほど、ゆったりと座れたり、便器に汚れがつきにくいなどのメリットがあります。また、洗浄の際に必要とする水量の違いは、直接トイレのランニングコストに跳ね返りますが、洗浄の際の水流の差異(洗浄方式)によっては節水が可能であるなど、その選択は多様な組み合わせのなかから行うことができます。
ここで、いまもっとも一般的な「洋式便座」である、「温水洗浄便座」のメリットとデメリットを押さえておきましょう。 「温水洗浄便座」も、温水の作り方によって大きく2種類に分けられます。洗浄に使用する都度、ヒーターでお湯を作る「瞬間式」と、前もって湯を作りタンクに保温しておく「貯湯式」とです。 「瞬間式」よりも「貯湯式」のほうが年間消費電力がかさみ、ランニングコストは高くつきますが、湯をふんだんに使用できるというメリットがあります。一方、ランニングコストがかかりにくい「瞬間式」は、実は本体費用の面で比較的割高というデメリットがあります。 容易に後付けが可能な「温水洗浄便座」ですが、商品によって各々の機能やコスト感はかなり異なります。一度購入した後の変更の難しさは便器のそれと異なりますが、それでも導入後は交換などの効きにくい性格の商品です。使い続けるに当たるコストまで考慮し、選びたいところです。
最後に。前述もしましたが、何かと便のいい「洋式トイレ」ですが、その前に立って小用を済ませる習慣を持つ男性の尿による、床や壁にも及ぶ「飛び散り」汚れがつきやすいという欠点がまずあります。また、便器の構造上、便座の下に位置する便器の「縁」には、女性の排尿時に尿汚れが付きやすく、溜まると落とすのが厄介な「尿石汚れ」となりがちであるという問題もあります。 その他、手洗いタンクの中に手洗い時の汚れやホコリが溜まったり、結露によるカビが生えたり、タンク内機構の経年劣化などによる汚れが溜まると、便器の厄介な喫水線汚れ(いわゆる「サボったリング」)が付きやすくなるという盲点もあります。 「和式トイレ」ほど分かりやすい汚れではありませんが、「洋式トイレ」も、使用頻度の高さに比例してやはり汚れがつきます。便器内部のみならず、便座の裏、蓋の内外、便器周辺、また床、壁、天井に至るまで、折を見て掃除をする習慣をもちましょう。そうして、いつも快適なトイレを維持できるといいですね。