2017.12.20 浴室タイルの目地のカビ・黒ずみ取り方法は?|ズバッと解決!<季節のお悩み相談室>

私が解決します!
大手住宅メーカー勤務を経て、主に住まい・暮らしまわりの記事を専門に執筆。
現在は企画、広告、商品開発アドバイザーなど多様な業務に携わる。
TV「マツコの知らない世界」に1000個の掃除グッズを試した主婦として出演も。
著・監修書に『この一冊ですべてがわかる!家事のきほん新事典』など。
「あ、カビ!」。お風呂場のどこかにカビを見つけてしまったそのとき。あなたは、まず、「どう」対応していますか?
ふだんの生活を想像しながら、正確に答えてみてくださいね。
①「まあいいや、後で何かしよう」と思い、とりあえず放置する(!)
②「ちょっと、こすっとこう」と、手近なブラシなど(古歯ブラシや、掃除用ブラシ、スポンジ)で、ササッとこすって、シャワーですすいでおく
③「こするのには、洗剤つけないと」と、お風呂用洗剤をスプレーし、上記同様こすり洗いし、すすいでおく
④すみやかにカビ取り剤(次亜塩素酸ナトリウム)スプレーを吹き付け、しばらく置いたのちにすすいでおく
⑤消毒用エタノールスプレーかジェルをつけたティッシュで拭く
おおかたのケース、この5通りの対応のうちのどれかに分かれるのではないかと思いますが、あなたの採っている対応は何番ですか?あるいは、何番に最も近かったですか?
私は、正直に言えば①の「まあいいや、後で」という対応をする人が大半なのではないかと想像しています。「見つけちゃったけど、まあ、今じゃなくてもいいか……」。その後しばらくして、②の「ちょっと、こすっとこう」というアクションになるのでは? とすれば最初から②を採用するほうが優等生的な回答のように思えます。
しかし、実は①と②のアクションで、どちらがより「カビの生えやすい浴室を作ってしまうか」といったら大差ないのです! なぜでしょう?
カビそのもの(胞子)というのは直径が数ミクロンと微小で、単体では肉眼で確認できるものではないんですね。この胞子が、どこかにくっついたり落ちたりした、そこがカビにとっていい環境であれば発芽し生育して、私たちの目に見えている状態ではすでに「コロニー」と呼ばれる大きなかたまりに成長しています。
このカビのかたまり(目に見えるカビ)、ちょっと風を当てたり蒸気をもうもうとさせる程度では特に飛び散ることもないのですが、水温25度程度の水シャワーの「水滴」が当たると爆発的に胞子を放出してしまうことが、実験によって確認されているんです。
また、カビという生き物は、いわゆるお風呂の汚れ(湯垢や皮脂や石鹸カスなど)よりも、「石鹸」そのもの(通常の「洗剤」も含む)のほうを、栄養源にしているということもわかってきました。
つまり、「カビ予防」のつもりで、よくやられている「シャワー水を浴室内に撒いたり」、「洗剤で掃除をしたり」することは、すでにカビの生えている場所で行うカビ対策としては得策ではないのです。となると、③のチョイスもあやしいことになります。
ですから、浴室内のタイル目地のように水洗いが容易に可能な場所については、カビの細胞を強力に酸化させて破壊する「次亜塩素酸ナトリウム」を主成分としたカビ取り剤(塩素系漂白剤)を、カビがたとえ小規模でも直接吹き付けて殺したのちによくすすぐ方法、つまり④が、効率的だということです。浴室天井(カビ取り剤が垂れると危険)などは垂れにくいジェル状のカビ取り剤を使って拭き取る方法も採れます。
また、カビの細胞を変性させる効果を持つ「消毒用エタノール」(垂れても比較的安全)で拭き取る、⑤の方法も良いでしょう。水洗いできないクローゼットや居室の窓周りのカビなどの始末にも「消毒用エタノール」は活躍しますので、キッチン掃除用などでもいいので準備しておくと良いですね。