2017.12.06 お風呂の鏡や洗面器の水垢が落ちるピカピカ掃除方法を教えて|ズバッと解決!<季節のお悩み相談室>

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大手住宅メーカー勤務を経て、主に住まい・暮らしまわりの記事を専門に執筆。
現在は企画、広告、商品開発アドバイザーなど多様な業務に携わる。
TV「マツコの知らない世界」に1000個の掃除グッズを試した主婦として出演も。
著・監修書に『この一冊ですべてがわかる!家事のきほん新事典』など。
ちゃんと洗っているのに、汚れがつく。不本意ですよね。まず、お風呂場全体を汚す「汚れの正体」からお話ししていきましょうか。
お風呂場に限らず住まいの汚れには大きく分けて「酸性の汚れ」と「アルカリ性の汚れ」があります。キッチンコンロや換気扇のベタベタ(油)汚れ、スイッチプレートの手垢(皮脂)汚れなどは典型的な「酸性」の油脂由来。一方、お風呂場の鏡の白濁(鱗状痕りんじょうこん=ウロコ状の跡)汚れやトイレ便器のふち裏汚れ(尿石)などのカルシウムなどミネラル汚れは「アルカリ性」です。
浴槽につくほうの汚れは、入浴中に身体から出た皮脂など脂性のものが主。浴槽の素材によってその付着しやすさには軽重があるものの、概ね市販の中性タイプの浴室用洗剤の界面活性剤で、容易に浮き上がり落とすことができる類の汚れです。
さて中性の浴室用洗剤では落としにくい、アルカリ性の、硬いミネラル汚れを落とすためには二方向からのアプローチがあります。ひとつは「擦る」「削り落とす」掃除。もうひとつは「溶かす」「緩める」という方向からの掃除です。
ガラスである鏡を傷つけず、しかし鱗状痕は削れるという絶妙な硬さをもった、研磨のための道具が市販されています。鏡研磨用の道具自体はあまり大きなものではないことがほとんどですので、掃除の都度や入浴の都度、こまめに擦り削ることができる使い勝手の良さがあります。これといった洗剤は併用せず、お湯や水だけで掃除ができる点も好んで使われる所以です。
「溶かす」「緩める」方のアプローチは「クエン酸」や「スルファミン酸」といった酸性の洗浄剤を使用して行われます。ガチガチに固着している石を酸でしゅわしゅわと溶かすようなイメージです。その後に、研磨ほどの力を入れずに擦り落とし切ります。溶かして濯ぐだけで落ちてしまうこともあります。
強烈に固着した広域の鱗状痕を効率的に落とすには、これら酸をうまく利用する方が手軽ではあるのですが、気をつけなければならないこともあります。
お風呂掃除でよく使用されるカビ取り剤、「次亜塩素酸ナトリウム」と反応して塩素ガスを発生させてしまうというリスクがあるという点です。
塩素ガスは、軽く濯いだ程度の、微量の酸でも次亜塩素酸ナトリウムに触れると発生し、鼻や目や喉などに刺激を及ぼし、場合によっては死に至らしめるほどの危険なガスです。
お風呂場の掃除にあたる際には、使用する洗剤の性質をしっかり把握し、メガネやマスクで粘膜を保護しながら換気を怠らず、十分注意して行うようにしましょう。