2017.11.29 冷蔵庫のおすすめのお掃除方法とは?|ズバッと解決!<季節のお悩み相談室>

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大手住宅メーカー勤務を経て、主に住まい・暮らしまわりの記事を専門に執筆。
現在は企画、広告、商品開発アドバイザーなど多様な業務に携わる。
TV「マツコの知らない世界」に1000個の掃除グッズを試した主婦として出演も。
著・監修書に『この一冊ですべてがわかる!家事のきほん新事典』など。
猛暑の折、家の中の気温が40度近くなる家も珍しくない昨今。たとえ常温保存可能と謳われている食品でも、本当に大丈夫なのか不安になりますよね。
いわゆる根菜などを保管する「風通しの良い冷暗所」と呼べるスペースも、明るい南向きのリビング並びのキッチンでは見つけようがありません。「ぬか床」の定位置も、今や冷蔵庫内というお宅がほとんどではないでしょうか。
また、近年、開封済みの粉もの(パンケーキミックスやお好み焼き粉)の中で「ダニ」が繁殖してしまい、それを気づかず調理して食べ、激しいアレルギー症状(アナフィラキシー・ショック)で呼吸困難を呈したりする事案(パンケーキシンドローム)が問題となっています。軽く輪ゴムなどで閉じて常温の引き出しなどにしまっておいたのが原因です。
かくしてゴキブリ、ダニなど害虫の侵入をも予防できる「密閉収納庫」として、「住まいの冷暗所」として、そしてとにかく「なんでも食品庫」として、「冷蔵庫」の存在意義は増すばかりなわけです。
ただ一点、気をつけておかなければならないのは、冷蔵庫は「万能保管庫」であっても、決して「無菌室」ではないということです。「冷たい=菌がいない」わけではありません。
食べ物を傷める(分解する)微生物(細菌、カビなど)は、世界中の多様な自然、極限環境でも生息しているような生き物です。たとえ冷蔵庫の低温乾燥環境下であっても、その働き(腐敗など)を遅らせたり、いくらか抑えることはできたとしても、完全に防ぐことはできないと考えたほうが正解です。
とくに冷蔵庫の「野菜室」からは、冷蔵庫の他の場所に比べ多くの細菌が検出されていることをご存知ですか? 「野菜室」は野菜の鮮度を保つために比較的設定温度が高い(冷蔵室が4℃ほど。野菜室は7℃ほど)ことも影響していますが、もともと野菜は(微生物が豊富に存在する)土の上で育つものです。
土には夥しい微生物が棲んでいます。例えば泥のついた長靴をそのまま冷蔵庫に入れる人はいないと思いますが、泥ネギや泥ごぼうを不用意にしまってしまう人はよくいるのでは。またちょっと萎びた葉物野菜の葉のかけら、野菜クズの類が「野菜室」の底に集まり、こびりついているような様子も決して珍しいものではありませんが、それらは細菌やカビたちの格好の温床です。
ならば野菜はみなビニール袋に入れて密閉し、泥や野菜クズがこぼれないようにすればいい。こぼれた泥などの汚れは、サッと水拭きすればOK!?かというと、それほど単純な話ではありません。
実は、水拭きを行うことによって、ばい菌(生菌)数はむしろ30〜700倍に増えてしまうという驚きの報告がなされています(※1)。拭いてキレイにしているつもりで、ばい菌を「塗り広げて」いるのと同じだということです。
ではどうしたらいいのかというと、水拭きの後に「消毒用エタノール(アルコール)」をまんべんなくスプレーするか、「消毒用エタノール」を吹き付けた使い捨てタオル(キッチンペーパーなど)、「消毒用エタノール」を含んだ使い捨てウェットシートなどで、野菜室をはじめとした冷蔵庫内の清掃を行えばいいのです。
冷蔵庫内では、自動製氷機の水タンクや製氷装置内の汚染というのも軽視できません。水タンクは概ね、氷の衛生を保つ意味で水道水(塩素入り)を充填することを推奨されているものなのですが、「美味しい氷を作りたい」がために湯冷ましやミネラルウォーターを良かれと使用している人が少なくないことも問題です。
ミネラルウォーターや湯冷ましではタンク内の衛生状態が保持されず、またタンクを日常的に洗浄するということをしていない限り、水垢や黒カビの繁殖は避けられません。
自動製氷機清掃には、専用のクエン酸を主成分としたクリーナーが適しています。適宜、水道水で希釈して水タンクに入れ、氷を作りながら洗浄・清掃をすることで、黒いカビ入りの氷が出来上がったりしますので、ビックリすることでしょう!
この製氷装置の洗浄や、冷蔵庫内の清掃に際しては、食品の一時退避の退避場所(気温の低い環境、真冬ならレジ袋に入れて屋外に出しておくだけで足りる)を整えたり、氷が作れなくても困らないなどの理由から寒い冬季に掃除を行うのがおすすめです。
思い立ったが吉日。ぜひ、「野菜室」から冷蔵庫掃除に着手してみてください。